「あぁ……んっ、あ、あーちゃー……」
オレの腕の中でうわ言の様に喘ぐメートル、普段のつんとした振る舞いから一転してまるでオレに縋りついているかの様にその白く細い腕でしがみついている。オレと彼女を繋いでるところからはぐちゃぐちゃと交じり合った果てのものが溢れていた。時折うわ言の様に助けを求める声がする。せめて、こういうことをしていないときに彼女がそう言えればいいのにとふと思った。思ってしまった。
「大丈夫、ほーらゆっくりオレに身を委ねるんだ」
そっと背中を撫でてやる。まるで仕込まれた人形のようにぴくりと震えながらさらにオレの胸に彼女は顔を埋めていった。消え入るような声でいうのは上のクラス名のみ。本当は真名で呼んでほしいのだが流石に聞かれている可能性があるためずっと”アーチャー”と呼ばれているのだ。致し方ない。
オレとメートルが交わっているところはぐちゅぐちゅと水音がしている。本当に人形なら何も分泌しないはずなのに液が漏れ出ているどころか彼女の中は暖かい。オレの高ぶっているものをぎゅうぎゅうと締め付けている。これを”人”と言わずしてなんと言おう。それでも今の時代なら見事に再現された性具があるらしいが、今メートルに召喚されているオレは彼女しか知らないからわからない。その彼女すら自分は人形であろうと努めていれど今はただオレの腕の中で鳴いている。そっと抱きしめてやるとほんの少しだけ色づいた声を漏らした。
「あ、うぅ……」
「どうした? 何をしてほしい?」
ゆっくり、波打つように腰をうってやる。オレの動きに応じてメートルはゆったりと身じろぎする。確か初めての時にそういった経験がないと話していたのか、まだ動きは少し硬い。
「何をしてほしいか、言ってくれ。いくらオレがアンタの願いを叶える存在だとしてもずっと胸に秘めてるものはちと難しいからなぁ」
そうメートルに向かって囁くも、ただ彼女は鳴くだけ。ああ、もしかしたらメートルは願いを口にする手段がない、もしくは口にしてもしょうがないと思うようになっちまってるのか?
「どうした? 甘い言葉が欲しいのかい? 体を触ってほしいのかい? もっと、気持ちよくなりたいのかい?」
それなら、といくつか選択肢を提示してみる。普段から何がしたいとか言い出さないメートルのことだ。もしかしたら何がしたいのかわからない、もしくはここでも人形であるという枷を外せていないのだろうか?
「……う、う」
「ん、どうしたんだい」
「わ、わから、ないのです……。あんま、自分の欲とかわからないので……」
「そうか、欲がわからないのか」
「でも、したい、というのはあるんですけど……具体的になにがしたいというのはわからないんです。私……」
ぎゅ、とオレの胸を掴もうとしたのか優しくつめを立てられる。確かにメートルがここにいるということを感じることが出来てほんの少し胸が満たされそうになったが肝心の千代は満たされているかすらわからない。欲の出力不足からくるもの、それをなんとかして少なくするのが今のオレにできることだろう。
で、あれば。
「なら、全部やろうか。そうすれば何されたいとかどうやって愛されたいというのが少しわかるかも、しれんからな」
ぺたりとオレと千代の胸が合わさるように抱き寄せて、少しだけ激しく接合部に入っている熱いものを動かしてやる。すでにとろけ切っていたのか千代はあられもない声を上げて縋り付いてきた。
「あぅ……! ひゃぁ、あ、あーちゃー……! あー、ちゃぁ……!」
既に目は涙で潤んでいて、顔も赤い。普段血色すら感じ取れない無機質な肌と表情を知っているオレからしてみればとても新鮮で、色々な顔を見たいくらいにそそられる。それでも、まだ少しだけ怖くて彼女の今の姿への賛辞は今の時間が壊れそうで云えないのだ。それだけが、少し残念だ。
そしてオレはそれを回避しつつ、耳元でそっとささやいてやる。
「――――あんたのすべてに口づけしたい」
ぴくり、と千代の体が震える。今更恥ずかしくなったのか顔を少しそむけてしまった。だがちょうど耳元はささやきやすい位置にある。これだけで止めるつもりなんぞさらさらない。今日はメートルを愛で、恋で、思いで満たすと決めたからな。
たとえそれが、ほんの僅かな一時だとしても。アンタが喜んでもらえるのであればそれでよかったんだ。
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