「ほら、声は出さないで。聴こえちゃうでしょ? 君の恥ずかしい声が敵にも味方にも」
「あぐぅ……あ、あ、はぁ……ばた、いどのぉ……あ、つ、突かないで……」
夜、誰もいない河原にて女は男に腰を、体を委ねている。しかし男は彼女の衣を全て脱がさず、必要最低限の服を降ろすだけで後ろからゆったりとおのれの欲を突いていた。地形は周辺よりくぼんでいる上に岩々が影になっている、ということもあり一見して見えないところにいるという利便性はあれど、今は静かな夜だ。あられもない声を上げてしまったらすぐにこの”有様”が明るみに出て地獄を見るほかない。しかし、先に誘ったのは男の方で不安交じりで頼んだのはいいが女はこれもまた”温もり”を求めていた上に男のことを愛している。故にこの行動に出ているのである。
「あ、ばたいの、もの……おっきくて、うぐぅ、きついぃ、のぉ……」
「……君のだって、とても締まるじゃあないか……」
少し焦り気味に男は女の腰を掴み少し早めに陽を打ち付ける。声をこらえては入れど女の声には徐々に快が滲みだしていた。男は腰の打ち付けを止めることはせずに陽の気の向くままに腰を打ち付け、入り口付近の場所に陽を擦らせた。
「――――――! あ、そこはぁ、ら、らめぇ……」
「はーい、静かにね。ばれてしまえば大変なんだから……」
ぞくりとした声色にぴくりと体が跳ねる。ああ、抗えないと思いつつ女は男に体を捧げた。
布の海に溺れる
「ほら、大丈夫だよ。俺はここにいるから、しっかりと掴んでいいよ」
熱と蜜を孕んだ低い声は、女を狂わせ、陰陽混じり合っている場所からはこれでもかと言うくらい水音が響いている。
「ばた……いどのぉ……、や、掴んだ、ら、傷が……」
「君から、付けられるのならむしろ本望だよ」
女に縋りつかせるために、馬岱は膨れ上がった欲を女の中に激しく打ち付ける。それが起点となったのか女は嬌声を上げぎゅっと男にしがみついた。
「……っ! やらぁあ、うぅ……!」
「そんなに良かったのかな? こんなにも、腰が動いて、震えてるよ君」
女はまるでぱくぱくと酸素を求める魚の様な有様で、馬岱はそれをどこか愛らしく思えていた。そして男は女に口移しで空気をやるも、ますます女は溺れるだけだった。今にも爆ぜそうな時。乱れ狂う女に男は止めと言わんばかりに囁いた。
「──さ、一緒にいこうよ。さらに、たくさん愛し合おうよ」
抱えられた感情
それは浮遊感にも似た感触だった。宙に浮いてはいれども、下から支えられているような感じがして、かつとろけるようなものがある。目の前には愛しい人が優しげに笑いながらどこか堪えているような顔をしていた。
「ほら、君……こんなに穿たれて、やらしい声を出して変態だよね……?」
「ひぅ、……、こ、んなにした、のさぁ、ばた、いのせい、でしょ……!」
「ごめんごめん、でもこんなに俺にしがみつく君が、あまりにも可愛くてさ……とても、こうしたくなる」
「だってぇ……離したら、おち、ちゃうからあ……!」
「それも、そうだよね……でも、こんなに君がしがみ付いている様もたまらないよ」
ぬちゅぬちゅとした接合部からは互いの液が混じり合い、いつ垂れてもおかしくないくらい溢れている。女は切なげに息を漏らし喘ぎつつも逞しい男の体に必死にしがみつき、襲い掛かる快楽に振り落とされないように必死になっていた。男はその小動物のようにしがみついている女を何事もないように抱え込む。左腕は女の背中に、右手は柔らかい女の尻に。少しだけ右手を動かしてやるとぴくり、と女の体が僅かに跳ねる。その様子が男からしてみればとても煽情的で、ただでさえ腰は女の細い両足の掴まるところになっていて動かしにくいにも関わらず、つい突き上げてしまうほどだった。
「あっ、あ……ばた、いど、の……あ、ああっ、ひぅ……あぁっ!」
「ほら、しっかりしないと……うっ、落っこちちゃう、よ……?」
「や、やだぁ……おちたく、な、い……ああぁ」
「落ちたくないなら、ほら……俺にしっかり掴まっていて?」
ぎゅ、と馬岱は女を抱える。女はそれに従うようにしっかりと彼にしがみついた。そして、どこからともなく絡み合うように口づけをした。
温まる
ぱちぱちと薪は燃え、その傍らにて男女はもぞもぞと絡み合いながら体液を混ぜ合わせていた。男が女を押し倒し、そして彼女の負担にならぬように覆いかぶさって求め合う。しかしどうだろうか、女はぎゅっと男を抱きしめ切なげに息を漏らした。
「あ、あつ、あつい、ああぁ……あ、はぁ……あ」
「本当に君は、良く啼くよねぇ。まあそれほど暖かくなってよかったよぉ」
「あ、ばた、い……あ、やぁ……!」
ぽとり、と男の頬から女の首筋へと汗が垂れる。そのたびにぞくりと男の体に甘い刺激が走る。繋がっているところからは絶えずぬぷぬぷと陰陽が交差し混じり合って、陰の内側は陽に擦られている。陰陽が混じり合い、刺激に耐えかねたのか女は男の腕に爪を立てた。
「ああ、とてもたまらない。君は寒くて寂しいからこそ、ますます暖めたくなるのだから」
今だけでも
陣幕にて、一対の男女は決して離すまいと口付けを交わす。深く強く、互いを抉るように。彩度の低い男の瞳は、なされるがままに溺れる女の様子を映していた。唇が離れる一瞬、女は男の名をうわ言のように呼び、それに応じるかのように男は女の口を塞ぐ。
「ぁあ……や、ばた、いどの……そろそろ、いかな……きゃ、んんぅ……」
馬岱と呼ばれた男は、これで最後と言わんばかりにちゅっと音を立てて口を離した。
「……そうだね。俺たちそろそろ行かなきゃ。そしてまた、生き延びよう」
そして二人は陣幕から出た。甘い香りは全て鉄の錆びた匂いに上書きされるまで、そう遠くない。
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