「あ……っ、ふ、ふぁ……あ」
「ん、んく……」
時計の針が頂点にて重なった時、一対の男女がひしと抱き合って口の中を絡ませていた。傍らにはいくつか皿に並べてあったチョコレート・トリュフ。それらが載せられたお皿にココアパウダーで作られた円形の跡が三つほど残されていた。
舌の温度でトリュフを溶かす。そんなに力を入れていないはずであるが口の中に入れてあるそれは既にぐずぐずに溶けており、原型をとどめないでいた。
「あ……、あー、んぅ……」
「……そんなに崩れちゃって本当にメートルはかわいいなぁ」
くちゃりと咥内のチョコレートが崩れる音がした。それを合図に互いの舌は口の中に残った甘美な菓子を味わおうとぐちゅぐちゅと入り乱れていく。互いの首の後ろに自分の腕を絡ませて、もっと奥深くまでチョコレートを味わおうとしたら互いの口の中を味わうことになったのでぐちゃぐちゃと色々絡み合ってしまっていた。それでも互いの唾液の味が美味なのか、それとも愛する人の口の中はとても心地いいのか角度を変えて互いに口の中を味わった。
「うぅ……あ美味しいぃ……あーちゃーの、くちのなかとてもおいちい……」
「それはなによりだ。オレもオマエさんの口の中は本当にだぁいすきだ。ずっとこうしていたいくらいにはな……」
トリュフの形は消え去り、後に残るはその名残のみ。唇が合わさっているその隙間からは茶色の唾液が少しだけ漏れ出している。そんなことを気にも留めずに二人はただ唇を重ねあい、暇な腕たちを互いの体に絡ませて、蒼を下にして寝台へとなだれ込んだ。ふぅ、と湿った息が漏れ出して残ったチョコレートは口に入れられる時を待ち望んでいる。
「今日は、オマエさんを味わいたい」
そういって男は傍らのトリュフを一つ自分の口に放り込む。そして少しだけ口を開けて女の口へと入れた。まだ甘い夜は始まったばかり。皿が空になるにはまだ遠い。
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