「……」
かたん、かたんと音がする。恐らく銃の手入れでもしているのだろう。そりゃそうだ。彼の生命線でもあり相棒でもあるのだから。私がこうして休んでいる間に彼はきっといつもこういうことをしているのだろう。彼に見つからないように再び目をつむる。
「……今宵?」
ふ、と孫市さんが私の名前を呼んだ。まずい、ばれてしまったか。私は体を強張らせてぎゅっとねたふりをした。
「起こしちまったかい? もしそうだとしたら悪いな……。今日は逃げに逃げ回ったから早く寝ちまうのも無理はないが……お姫様はゆっくり休んでおくれ」
がたがたと風がなる。そこまでここの隠れ家は丈夫ではないらしい。甘ったるいほどの言葉をかけられ一瞬変な声が出そうになったがぐっとこらえ、彼の繊細な手つきで顔を撫でられてもただじっとしていた。
「……しかしこう、かわいいねぇ」
一度だけなら、という言葉とともに何かが私の額に触れた。それが、かれのうすいくちびるだったということを理解するのにそんなに時間はかからない。
「……ひゃあ」
「……おはよう、お姫様。起こしちまって悪いな」
その後、色々と一悶着おきて再び寝るために彼の力を借りざるを得なかったのはまた、別の話。
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