剥かれた素顔

 紫煙が僅かに残る部屋のベッドにて、今宵はナポレオンの体にもたれかかるように座っていた。いつも着ている服は脱がされて無地のベージュ色のブラジャーと黒いショーツが晒しだされている。ブラの隙間から骨ばった手が侵入していき柔らかくて豊満な胸を揉みしだいていた。
「んっ……あ、う……」
「気持ちいいかい?」
「わかんない、です……あ、うぅ」
 自分の体が受けている感覚が分からない故か、女は男の中で身じろいでいる。柔い尻が、男の熱い砲身を幾重の布越しにこすりつけているが彼はそのことについて一切触れることはなくただ、女に「快楽」を教え込んでいた。
「わからない、か。じゃあこうされるのはいやかい?」
「や、じゃないですけど……でも、こういうのされたことなくて……」
「戸惑うのも無理ねぇよなぁ」
 ちゅ、と細い首筋に男の大きな口がかぶりつく。何度も付けられた痕と咥内の温もりに思わず今宵は自分の胸を揉んでいる男の手を掴む。潤んだ女の目は閉じ、自分の体にある何かを閉じ込めるかのようにぎゅっと体をこわばらせた。んぱぁ、と男の口は離れ「どうしたか」と低く優しいテノールで囁く。
「こわい、こわいの」
「何が怖いんだい? 話してごらん」
「この感覚、癖になっちゃいそうで、その……えっと……やらしくはしたない子になっちゃうのが怖いのです。いい子から離れちゃいそうで……」
 顔色を伺うようにして今宵の瞼が上がり、背後にいるナポレオンの方を見る。あー、と男は声を出し、女に語り掛けた。
「そういうことか。全く分からないことを経験するのは怖いよなぁ、あと別に癖になったところで悪い子になる訳じゃないからな、安心して癖になっちまえばいい」
 ほ、と女の口から安堵の息が漏れる。それを聞いた彼はすぐさま両手で果実の揉みしだきを再開させた。安堵の息から喘ぎ声に切り替わる。男の手にしがみついているように握っている女の手は添えるだけになり、男の掌の上で踊るようにして刺激に身をくねらせた。突起は目立つようにたち、豊満な胸はさらけ出されるようになりブラジャーの意味をなさなくなっていく。
「やぁ……ん、あーちゃー、あーちゃー……」
「二人きりの時はどう呼ぶ約束だったか? メートル」
「な、なぽれおん、さん……?」
「そうだ、そうだ今宵。よく呼べたな」
 くり、と女の胸にある突起に指を伸ばす。それに呼応するように女の喉から甘ったるい声が出た。既に声に躊躇いはなく、かといって言葉らしい言葉を発することはなくただあんあんと喘いでいた。大きなお尻ももだえるように動き、さらに熱く硬くなっている砲身を求めるかのようにこすり合わせている。
「あ、あー、すき、すき、あ、しゅきなの……」
「そうか、大好きかぁ、ならこれはどうだい?」
 右手が胸を離れ女の下腹部の方へと降りていく。もしや、と今宵が思った時は時すでに遅くショーツの下に男の武骨な手が潜り込んでいた。
「―――っ!」
「気づいていないとでも思ったかい?」
 割れ目に人差し指が沈み込む。長く節くれだったそれが奥に進み皮に包まれた小さな豆に到達する。
「オマエさんの尻がオレのモノに当たってるということを」
「そ、それは……! つい、つい……」
 どく、と男のそれがさらに質量を増していく。女は顔をさらに赤らめて次の言葉を探したが見つける前にナポレオンは畳みかける。
「言わんでもいいさ、でもまだそこを慣らしたことはないだろう? だからこれを中に入れることは今はしない」
 はぁ、と女は脱力する。名残惜しそうに尻を剛直に擦りつけるが男の手が胸と秘部から離れることはなかった。それどころかまだその手でもてあそんでいる。
「だが、今日はここを慣らさないとは言ってないぜ? お望みとあらば……」
「く、ください……。ならして、くださいぃ」
 潤んだ目で女は男のほうを見た。ふるふると震える唇で、今できる精いっぱいの声色で男にねだる。それをみた男はにやりと口角を上げて「D’ accord」とささやいた。
 ふるふると震える乳房は左手に、茂みの中の芽は右手にあり、優しく弄ばれる。すでに長い時間男の手に触れられているからか甘い声は狭い部屋の中で反響する。男の低く甘い声は女の真っ赤な耳を通り、女を文字通りぐちゃっぐちゃに仕立て上げている。
「ほら、オマエさんの芽が顔を出しつつあるぜ? ここがクリトリスだ。いじられるととーっても気持ちよくなる……っと」
「あ、だ……ああ、いぁ、んんぅ……」
 ぐり、と男の砲身が女の尻に強く敷かれる。先走り汁は少しだけ漏れているがそれでもまだ暴発には程遠い。しかし男の指に遊ばれている芽は少しずつ膨らんでいき、ぴんと主張を強めていた。
「普段はどんなえっちなことを考えているんだい?」
「は、恥ずかしいぃよ……」
「じゃあ夜寝る前によく聞くショコラのような甘い声は?」
「あれは……その、つい……つい……葉巻のにおいでつい……」
「それだけで、か?」
 ちゅ、と女の耳たぶに口づけを落とす。ひんっ、と女の鳴声を聞いたのちに男はかり、と膨れ上がった芽をつまんでやった。
「あ、あ―――っ!」
 女の高い声なき叫び声で体を弓なりに反らす。ぷしゃ、と黒のクロッチ部分が変色し節くれだった手に透明な液が付着した。
「葉巻の香りで欲情して、これでいくなんて随分と変態さんなんだな、オマエさんは」
「あ、あぅ……」
 ひくひくと絶頂の余韻に浸る女をナポレオンはそっと解放し、その場にあったバスタオルで巻いてやる。奥底にあった欲に揺蕩う女はただ笑みを浮かべていた。
「次はもっと、やらしいことをしようか?」
「うぃ……」
 ゆっくりと今宵は首を縦に振る。男は女の唇に自分の唇を落として頬を撫でてやった。

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