「私は先生ではありませんよ、女王陛下」
「ごめんなさい、でも今の貴方はそう見えたから、つい……」
無機質なマイルームにて、カリオストロは蒼の両肩を優しく抱きしめる。子どもに言い聞かせるように穏やかに、きちんと事実を彼女に告げていた。
「どうしても、穏やかでいて微笑んでいて相談にのってもらえるところがどうしても、先生に見えてしまったのです」
「あー……最近女王陛下から日常から深刻なことまで相談されてましたね……それで、一つ伺いますが何故に先生、でしょうか?」
カリオストロは女の耳元で小さく問を投げかける。女は「笑わないでくださいな」と呟いた後で囁いた。
「そういう先生が、いてほしかったからかもしれません……」
嗚呼、と答えを聞いた男は小さく感嘆を吐く。
女の肩から手を離し、宝石の如く反射する瞳に蒼を映した。
「そうですか、そうですか―――。なればご安心ください、女王陛下。優しく生徒思いな先生は今、『目の前にいます』からね」
男の反対色の目がきらめく。女の目から光が消える。
少しの静けさのあと、女は立ち上がり深々と頭を下げた。
「ああ、はい、いつも本当に、ありがとうございます。―――先生。今学期も、どうか、よろしくお願いいたします」
「ええ、期待していますよ。四条さん」
カリオストロは大きな手で壊れ物を扱うかのように女の頭を撫でる。女は光ない瞳のまま目を細めた。
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