カリオストロ夢

口移し

「さあ、こちらへ」 カリオストロは黒革に包まれた手で女の手を取り、優しい引力で自身の膝の上に跨らせるように座らせる。きょとんとしている女の口に丸々としたチョコレートを押し込んで女の下あごを持ち上げた。「そのまま食べずに、このまま私の口元へそ…

赤のしるし

 カーテンのように垂れている銀髪の隙間からは恭しく私の小さな右手の甲に口づけする男の顔が垣間見える。長い睫毛を伏せて、右手の甲に描かれている赤い模様が大切なものであるかのように唇をつけていた。「……嗚呼、我が麗しき女王陛下。これが、かの令呪…

メスマライザー(ショート版)

「私は先生ではありませんよ、女王陛下」「ごめんなさい、でも今の貴方はそう見えたから、つい……」 無機質なマイルームにて、カリオストロはの両肩を優しく抱きしめる。子どもに言い聞かせるように穏やかに、きちんと事実を彼女に告げていた。「どうしても…

一期一会

ある日、私は新宿東口の寂れたビルの中にあるバーのドアを開く。モノクロの内装に小気味いいベースにピアノが鳴り響く空間。ひっそりとした場所にこのような場所があるとは思いもしなかった。客は私以外に誰もいない。せっかくだからとカウンター席の端に陣取…