「君は、何故あのとき出てきたんだい?」
深夜、今宵はスティーブンの部屋に呼ばれ、昼間のことについて色々尋問されている。昼間、血界の眷属と交戦し、発見者である今宵はピンチになった後で急いで血界の眷属と遭遇したということを連絡したのだった。
その後、駆けつけたクラウスとレオナルドによって、無事封印されて事なきを得たのだが、ずっと戦ってきた今宵の体はぼろぼろになってしまった。本人は、それをなんとも思ってはいないものの、恋人であるスティーブンは、それをよしとしなかったのだった。
「時間稼ぎを……していました。逃げたところでどうとできることではありませんし」
事実、血界の眷属とエンカウントして、たやすく逃がしてくれるようなものではないということを、彼は知っている。時間稼ぎをするために戦うというのはむしろ良い選択肢ということは分かっていた。だが、頭では分かっていても心がそれを許さないという子供じみた思考が浮上してきた。
「だからって、そんなに無茶をすることはないだろう!」
「やらなきゃ、やられるだけです。このまま押しとどめなければどうなっていたと思いますか?」
ふっと、冷たい剣先のような目がスティーブンを貫く。彼女の言っていることは確かにこの場合、正しいことだが、このままなぶられて、体が原型をとどめていなかったら――と最悪の展開を今宵はしていなかったのだろうか?
「確かに、それもあるが君はもっと自分の体を大切に……」
「いいえ、HLに来てから私は、いつでも死ねるように覚悟をしているつもりです」
彼女の芯はスティーブンが思っていたより硬かった。
――ああ、君が好きなだけなのに
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