「――スティーブンさん、この包みは?」
「ああ、これかい?」
スティーブンの部屋にて、女は小さな一つの包みに気づき、なるべく触れないように近づく。あらゆる角度から、まるで小さな子供の様に女は観察してみる。
「これはだな……ちょっとした秘密のものだ」
平然としつつ、背中に少しだけ汗をかくような感覚に陥りつつもスティーブンは観察対象とされた包みを手に取った。
「まだ、君にも誰にも教えないからな?」
「それほど、秘密なのですか……申し訳ございません」
「いや、いいんだ。まあ、でもいつかこれは何なのか僕は明かすつもりだがな」
スティーブンは少女に微笑んで、包みを何処かへ隠すため別の部屋へと移動した。
「……何があるんだろう」
別室にて、スティーブンはそっけない包みを少しだけ飾り立てていた。手元の腕時計をちらりと見ると、時刻は十一時四十五分を示している。カレンダーを見ると、赤いペンで十月六日にチェックマークがついている。
「……今宵、君には言えないことだけど、また一年、どうか僕と一緒に同じ時を過ごしてほしいんだ。そしてこれは、僕から贈る今宵の”時間”だ」
スティーブンは、飾られた包みを抱きしめ、静かに今宵に贈る時を待っていた。
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