宝石箱を無邪気にひっくり返したようなきらめきが散りばめられている遊園地。せっかくの休日を楽しもうとする家族やカップルや単独行動のものたちを密室のゴンドラから俯瞰する。私は日本一高いと謳う観覧車の頂上付近からぼんやりと輝きを眺めていた。
「――――ああ、とても、きれい。飛び込んできらきら輝く世界に、私も――」
「確かにここは楽しくて綺麗だということはわかるが、飛び込むのは感心せんな。メートル」
「わかってます。飛び降りて血をまき散らすのはだめということですよね。目立ちますし」
す、とどこからともなく私の向かい側にくすんだ紅の髪をオールバックにした男が現れる。ある微小特異点ができた、カルデアのマスターは故あって手が離せないという理由で予備の私がこの港町をかたどった微小特異点の修復に呼ばれたというわけである。宇宙の名を冠する観覧車に乗ったのはよく周りを見渡すことができるからという理由であるがアーチャー――もとい、ナポレオンが霊体化を解いたことにより心がちょっとだけ跳ねてしまったような気がした。そして私の言葉をたしなめた。こればかりは私の日頃の行いが悪い。
「まあ、分かっているのならいいさ。オレとしちゃあその愛しいマドモアゼルの体が無事ならそれでいい」
「――――あ、だめ。いわないで」
ためらいもなく目の前の男は私に対しての甘ったるい言葉を捧げてくる。何度も聞いたはずなのに、未だにその受け取り方がわからない。だからこういうしかないのだ。
「……私は、そんなに」
「顔が真っ赤だぜ、それにその手はどうした? オレに手を差し出して……ああ、そういうことか」
一人合点した後でアーチャーは虚空に伸ばされた私の手を握った。あつくて、とけそうで、それでいて包まれる感じが心地いい。
「こうしたかったのかい?」
彼の肩越しにはほかのゴンドラはなかった。どうやら頂上に着いたらしい。都会にも関わらず天球には星が燦然と輝いている。夜空と星と電灯に照らされた彼の眼は昼間の空のようだった。
「――――はい」
まるでデート。やることはあるけど高鳴りは止まない。私はその一瞬をかみしめた。
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