4 日常屈折

4-4

「――……、」 遠くから声が聞こえてくる。くらく、つめたいゆめのなかで耳をふさいでいようともそのこえはひくくひびいている。 瞼を開いて確認したくてもまだ地獄が残っているのかもしれないのでやめておくことにした。「、」 嘲笑はなく、侮蔑もない声…

4-3

 私を呼ぶ誰かの声は遠くなり、目の前が暗くなる。また寝不足のつけがここで回ってきたらしい。今までいた場所から逃げるなと言わんばかりに見たくもない夢の上映会が始まった。そのたびに夢の中で感情を切断しても傷はうずいて、腕からは血が流れる始末。夢…

4-2

 彼に腕を引かれて雑踏をかき分けていく。 決してはぐれることのないように私の手首は強く握られて、時折はぐれていないかの確認であるのだろうか、スティーブンさんは私に色々なことを話しかけていた。少しだけ踏み込んだ趣味――好きな本の作家とか、よく…

4-1

「……」 退院したその日の夜、私はスティーブンさんの家の隅でうずくまる。 あの日私を襲ってきたジェストカヤ・プラヴダという組織のことについて話そうとしても喉がつっかえて何も言えない。 云わなきゃいけないのは、彼が追いかけている案件の重要参考…