ザヴウェーニェ・パーミチ

終章:後

 暫くした後で看護師はスティーブンさんを連れて戻ってきた。一礼をした上で看護師は部屋から退出し残されたのは私とスティーブンさん二人だけ。静かに時計の針の音が一定のリズムで刻まれる中、先に切り出したのは彼の方だった。「無事でなによりだ。」「……

終章/前

「まて……まちやがれ……。……! あんたの居場所はそいつのところじゃ、ない……! 自由になってしなせ、ないわよ……!」 地を這いながら女は呻く。きれいに飾り立てたメイクも、服も、ネイルも煤まみれになりもはや見る影もない。片腕は凍傷で使えなく…

7-6

「――――――」 こえが、きこえてくる。思ったより地獄からのつかいはやってきたのだろう。じごくのそこはつめたいとよくいうし、とてもひえているのはそのせいだ。「――、」 わたしのなまえをよぶひとがいる。さばかれるときはきたらしい。めをゆっくり…

7-5

「あ――ぐ、あ、き、さま――!」 男のうめき声とともに氷が割れる。ゆっくりと飛んでいった方向を見やると苦悶の表情を浮かべた月桂冠の男とスレンダーな女が倒れ伏していた。男はほぼ凍りついていて動く気配はない。女は右手だけやられている。女はすぐに…

7-4

「……すまん、クラウス、レオ。彼女を檻ごと救い出すはずが……」 ゆっくりと壇上から落とされた男が立ち上がり、手早く上着の裾を払う。そして自分自身を取り囲む群衆を見据えた。「そうか。それでスティーブン、檻の鍵は」「見当たらなかった。おそらくあ…

7-3

 一方その頃、クラウス・V・ラインヘルツとレオナルド・ウォッチは礼服を身にまといあらゆるものを吟味していた。無論、モノを落札するためではなく目的の『商品』がいまそこにあるのかを探すためである。ズールディーズのときと同じように気づかれずに、静…

7-2

 事態は急を要する。通話の返事もなくGPSもロスト。よぎったのはレオナルド・ウォッチと妹の面会の一件。故にすぐにクラウスに報告した後で全構成員に緊急事態を宣言し・の捜索・保護を指示した。これほどまでに彼女が追い詰められていたとは迂闊という言…

7-1

 さぁさぁすべてを記す少女をめぐる物語はいよいよ大詰め。 僕は色々なインシデントを扱った番組を一気見しながら観察するよ。あれは起こるべくして起こった事故。非常にためになるがいつまでたっても学ばない人類の博覧会だ。 記憶の固執、男の悲嘆、祭壇…

6.66 KINGPIN for shect’

 が、僕の目の前から姿を消した。手元には彼女から押し付けられた一冊の文庫本サイズのノート。物言わぬ証言の塊は今、僕の手の中にある。 もっと、彼女と面と向かって話をすればよかったか――しかし、彼女は現在進行系でレオナルドのときと同じような出来…

6.66 for me and my dream

 オークションのときが、近づいてきた。明日の今頃は莫大な金が手に入りさらなる研究のための準備をしている頃だろう。確実な将来の研究プランを脳内に浮かべつつ今は目の前の事柄に集中する。明日の予定表を念入りに確認していると背後の扉からオクタヴィア…

6.66 (not) along feeling

HLPDの資料室の一角にてダニエル・ロウ警部補は一つの封筒を手に取る。ぶつぶつと何かを言いながら男はそれを抱えて自分のデスクへと戻っていった。がさごそと少し乱雑に封筒から書類を取り出し眉間にしわを寄せ始める。文章に視線を向けながら唸り、舌打…

6.66 Tie me down/Let it go

/Tie me down 起動、確認。いつもどおりの朝がきた。今日の夢は目の前でスターの写真を破られる夢。メガネのレンズが体液で汚れることを気にせずに夢の中で掴みかかろうとしたがひらりと交わされて気づいた頃にはスターへの悪口と共に変わり果て…