78のきらめき
「オマエさんに渡したいものがあるんだ」 甘ったるい香りがはびこるバレンタインも終わり、カルデアはいつもの空気を取り戻した中、ナポレオンは深夜女のマイルームを訪れた。部屋の主である女は無機物を思わせるような表情で男を真正面から見る。かといって…
ナポレオン短編
味わいつくす
「あ……っ、ふ、ふぁ……あ」「ん、んく……」 時計の針が頂点にて重なった時、一対の男女がひしと抱き合って口の中を絡ませていた。傍らにはいくつか皿に並べてあったチョコレート・トリュフ。それらが載せられたお皿にココアパウダーで作られた円形の跡が…
ナポレオン短編
醜い傷跡を残さずに
「痛くないか?」「……あなたこそ、傷跡とか痛まないのですか?」 泡に溢れた湯船の中で私とアーチャーはちゃぷちゃぷとお湯の中に浸かっている。私の左腕は彼によってじっとみられていて、それが少しむずがゆく感じる。私の左腕の傷跡なんて見ても面白くも…
ナポレオン短編
ル・ヴァンカー
時計の長針と短針が頂点にて重なり合う。それと同時に一組の男女は絡み合い、弾けた。 は男の逞しい胸にだらりと弱弱しくしがみついた。ことが終わった後特有の力の抜けた腕と声で愛する男に呼びかける。「なぽれおん、しゃん」「どうした? かあいいかわ…
ナポレオン短編
卑怯者の恋
夢を、見ているようだ。隣には愛する人が私の横で背を向けて眠っている。普段は綺麗で厳かな軍服に身を包んでいる体は全てさらけ出していて、それはまるでギリシア彫刻のように逞しい。まるで、全てを守ってみせると語っているような背中。その背中には数多…
ナポレオン短編
口をひらく
「……常々から疑問に思っているのですがどうして、こう貴方はぽんぽんと愛の言葉をこう、囁けるのですか?」 時計の針が頂点に重なる頃、は愛する人の中でこっそり問うてみた。逞しい腕に抱かれて、自分じゃない熱を感じている今でしか言えないこと。男はそ…
ナポレオン短編
ジェヘナ
「どうした、マドモワゼル」 太陽のような笑みを浮かべて、愛する人がやってくる。ごく普通の恋人であったのなら、快く出迎えて抱き合ったり愛を語り合ったりするのだろう。だが、私はまだその段階に踏み出せない、いいや、踏み出す資格すらないように思えて…
ナポレオン短編