まるやまイージー

 路地裏にひっそりと建つホテルに入り、利用する部屋番号をフロントに告げてエレベーターに乗ったあとは早かった。蒼が恍惚に浸っている顔をナポレオンに向けた途端に彼はすぐさま熱い口づけを女に落とす。誰もいないことをいいことに大きな手を女の腰に回して撫で回す。女はあふれる涎っを気にせずに男の手の動きに合わせて腰を揺らした。
「あっ……んっ、いぃ……」
「っは……どれもこれも酔っているからかぁ?」
「えへへー……そーでーす」
「……オレ以外の前でこんなに飲むんじゃねぇぞ、蒼」
 ぽーん、と目的の階にたどり着いたことを知らせるベルが鳴る。名残惜しそうに二人は離れた後、ふらつく女の足を支えながら男は選んだ部屋の前にたどり着いた。男の長い指がフロントから提示された番号を押すと、カチリとドアが開き広くゴージャスな部屋が視界に入ったのであった。
「わー、ひっろーい! きらきらきれーい!」
 男の手を離れ蒼はふらふらとベッドの上にダイブする。ぼふんと布の海に沈んだ後ゆらゆらと起き上がったと思ったら今度は四つん這いになりナポレオンの方へとよっていった。
「ねーぇ、二人っきりだねぇ?」
「そうだなぁ、ふたりきりだな」
 男は手を女の体に伸ばす。女ははじめから分かっていたかのように起き上がり細い両腕を男のたくましい首に回した。脱力した体が男の体にもたれかかる。2つの果実を堪能するかのように男は腕を女の背にまわしてぎゅ、と固く抱きしめた。
「……柔いな」
「なぽれおんしゃんの、えっちぃ……」
「こんな婚約者の姿見せられちゃあ、欲情せずにはいられんよ」
 ゆっくりと、女を布団の海に押し倒す。そして互いに服を剥ぎ取り合って直に熱を確かめ合うことにした。

◆◆◆

「んぁ……! あぁ、おちんぽすっごい……」
「ったく、そういう蒼の中だって、とてもしまって……すべて搾り取られそうだ!」
 白濁入のゴムがきらびやかな部屋に散乱する。酔いの影響かはたまた何度も交わしているからか既にいくつ落ちているのか互いに確認する素振りすら見せていない。既にシーツの上はしわくちゃで、どっちのものかわからない体液が染み付いている。女のたわわな胸にはいくつもの大きな花弁が散らされている。動くたびにそれは揺れる様は男の征服欲を満たし、それが笑みに現れるたびに女の被所有欲は溢れていった。
 正常位、対面座位、騎乗位、バック、また戻って正常位。何度体を重ねようとも初めてと変わらない反応を見せる蒼は彼にとって何度も見ていたいものであるが、酒の力を借りて開放的になった蒼もまた愛しいものであることには変わらない。本人は「酒の力を借りるなんて最低だ」といって後悔を口にしているがそれなら酒の力と言う名のブーストが切れても本人が望む限りやればいいだけのこと。男はそう思い自分の欲が拒絶されるまで愛を注いでやった。
「しゅきぃ……なぽしゃとのおせっせ、だぁいすき……ちくびいじいじされるのも、おっぱいもみもみもくりちゃんいじめもおちんぽこしゅこしゅもせーえきぴゅっぴゅもぜぇんぶしゅきぃ……」
「まさかこんなに蒼が変態さんだなんて思わなかったぜ……」
「あなたのまえだけだよ? おさけでようのもぉ、えっちなおんなのこになっちゃうのも……」
「そりゃ、嬉しいねぇ。蒼はえっちだいすきだからなぁ」
「わたし、あなたいがいのえっちしらないもん」
「それも、そうだな」
 べろん、と男は大きな舌で女の唇から漏れていた涎を舐め取る。途端、太いものを加えている下の口からじわりとまた涎が溢れ出した。くちゅり、と水音がなにかのスイッチを押したように再び二人は動き絡み合いだした。

◆◆◆

「……」
 何度も何度も絡み合い疲れ果て、泥のように眠った翌朝、蒼はゆっくりと目を覚ます。ガンガンと響く頭を動かしてもぞもぞと布団の中で動いた。隣には誰も、いない。
「……あ、そうだった。私……」
 ゆっくりと自分の状況を顧みる。たくさんお酒を飲んで、確かナポレオンに介抱されて、その過程で自分は彼のことを誘って、それから……とても恥ずかしいことを言っていた気がする。
 女は重い頭のことを気にせずに慌てて傍らにあったガウンを身にまとい急いで冷蔵庫の中にある水を飲んだ。そして少しだけ落ち着いたあと自分自身をいつものように責めた。
「最悪だ……なんで素面のときに言えないの私……」
「また、後悔の話かい?」
 背後から愛しい男の声が聞こえてくる。蒼は振り返った後自分の顔を男の胸元に埋めた。
「思いっきり軽蔑してください。本心というかそういう類のものが言えなくてまた酒の力を借りてしまいました」
「軽蔑はせんさ。もともと自分の本心を言えないたちだということは知ってる」
「……余計言ったこと自分でも覚えているし、貴方の前だから余計甘えてるというのもあるかもしれません」
 ずずず、と女の体から力が抜ける。愛の交わりの副作用が現れた女を男は受け止めた後ベッドに寝かせてやる。
「あー、大丈夫だ。むしろ甘えてくれ。それに……どういう状況であろうとも言われたことに対する嬉しさは変わらんさ」
 ちゅ、と女の額に男は口づけする。女はゆるゆると手を伸ばして男の後頭部をそっとなでてやった。

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