5 絢爛逢引

5-5

 何事もなく彼の家にたどり着く。彼のもとに転がり込んでから暫く経つはずなのにまだ慣れそうにない。 綺麗に整頓されている部屋も、あたたかいお手伝いさんも、比較的やさしい家の主も。それらは誰かにとっての当たり前なのかもしれないが私にとってそのあ…

5-4

  天空の密室に二人きり。窓には宝石を散らしたような輝き。 そして――正面には、スティーブンさんがいる。 少し癖のある短い黒髪に左目の横に走る傷跡、グレーのスーツをまとった伊達男はいつもと変わらない柔和な笑みで窓の外を眺めている。朝と夜、い…

5-3

 ――ゲートを潜った先は、狂乱と絢爛に彩られた遊興空間だった。 様々な種族が一人だったりいろいろな生き物と一緒になって思い思いの遊具に乗っていたりメリー・ゴー・ラウンドではしゃいでいたり珍妙奇天烈な食べ物に舌鼓を打っているが彼と私はそうする…

5-2

 コニーアイランドへ向かう道中にあのようなおしゃれな店があるとは知らなかった。そもそも今まで服飾などに興味がなかったとはいえ巨大なブティックを見過ごすということはあるだろうか? 否、意識の範囲外においていただけかもしれない。様々な素材と色が…

5-1

 光は大嫌いです。 眩しすぎて何も見えなくなるから。 でも、見たくないものが多いのでどうか何も見えなくしてください。 つまり――眩んでしまうくらいに色とりどりの光をください。 第五章 絢爛逢引 浅い眠りから抜け出して天井を確かめる。高い天井…