7 一縷氷踏

7-6

「――――――」 こえが、きこえてくる。思ったより地獄からのつかいはやってきたのだろう。じごくのそこはつめたいとよくいうし、とてもひえているのはそのせいだ。「――、」 わたしのなまえをよぶひとがいる。さばかれるときはきたらしい。めをゆっくり…

7-5

「あ――ぐ、あ、き、さま――!」 男のうめき声とともに氷が割れる。ゆっくりと飛んでいった方向を見やると苦悶の表情を浮かべた月桂冠の男とスレンダーな女が倒れ伏していた。男はほぼ凍りついていて動く気配はない。女は右手だけやられている。女はすぐに…

7-4

「……すまん、クラウス、レオ。彼女を檻ごと救い出すはずが……」 ゆっくりと壇上から落とされた男が立ち上がり、手早く上着の裾を払う。そして自分自身を取り囲む群衆を見据えた。「そうか。それでスティーブン、檻の鍵は」「見当たらなかった。おそらくあ…

7-3

 一方その頃、クラウス・V・ラインヘルツとレオナルド・ウォッチは礼服を身にまといあらゆるものを吟味していた。無論、モノを落札するためではなく目的の『商品』がいまそこにあるのかを探すためである。ズールディーズのときと同じように気づかれずに、静…

7-2

 事態は急を要する。通話の返事もなくGPSもロスト。よぎったのはレオナルド・ウォッチと妹の面会の一件。故にすぐにクラウスに報告した後で全構成員に緊急事態を宣言し・の捜索・保護を指示した。これほどまでに彼女が追い詰められていたとは迂闊という言…

7-1

 さぁさぁすべてを記す少女をめぐる物語はいよいよ大詰め。 僕は色々なインシデントを扱った番組を一気見しながら観察するよ。あれは起こるべくして起こった事故。非常にためになるがいつまでたっても学ばない人類の博覧会だ。 記憶の固執、男の悲嘆、祭壇…