ザヴウェーニェ・パーミチ

4-4

「――……、」 遠くから声が聞こえてくる。くらく、つめたいゆめのなかで耳をふさいでいようともそのこえはひくくひびいている。 瞼を開いて確認したくてもまだ地獄が残っているのかもしれないのでやめておくことにした。「、」 嘲笑はなく、侮蔑もない声…

4-3

 私を呼ぶ誰かの声は遠くなり、目の前が暗くなる。また寝不足のつけがここで回ってきたらしい。今までいた場所から逃げるなと言わんばかりに見たくもない夢の上映会が始まった。そのたびに夢の中で感情を切断しても傷はうずいて、腕からは血が流れる始末。夢…

4-2

 彼に腕を引かれて雑踏をかき分けていく。 決してはぐれることのないように私の手首は強く握られて、時折はぐれていないかの確認であるのだろうか、スティーブンさんは私に色々なことを話しかけていた。少しだけ踏み込んだ趣味――好きな本の作家とか、よく…

4-1

「……」 退院したその日の夜、私はスティーブンさんの家の隅でうずくまる。 あの日私を襲ってきたジェストカヤ・プラヴダという組織のことについて話そうとしても喉がつっかえて何も言えない。 云わなきゃいけないのは、彼が追いかけている案件の重要参考…

3-6

「――あ」 目覚めた先は、また同じような天井だった。いつもの中央病院であることは確か。顔に触れようとしても包帯だらけ。視界はぼやけていて世界をすりガラス越しで見ているよう。 無理やり自分の体を起こしてみる。いたるところには包帯だらけ。それほ…

3-5

「――、!」 僕の叫びが路地裏にこだまする。と一緒に事務所へ帰ろうとした途端、彼女は触手にとらわれて路地から路地へと消えていく。たった一瞬の出来事故に何もできず、文字通り足が出る間もないくらいだったので男は一瞬だけ固まったがすぐに思考回路を…

3-4

 鈍い音が、聞こえる。なんか私の体にぶつかってはいるらしいけど、何なのかはわからない。 またなのか、とぼんやり思いながら私は今、サンドバックになっている。 しばらくして音が止まり、誰かが喋るような声が聞こえてくる。 どうやら私をどうするかと…

3-3

 スティーブンさんから昼食をおごられ、事情聴取じみたことをされた後で帰り道をいく。こうして誰かと一緒に並びながらどこかへと帰るという行為がこんなにも安心するとは思わなくて、手でもつなごうとしたがそこまで親しくない人に向かってそれはどうかと自…

3-2

 個室形式のレストランに案内されて、向かい合うようにして座席に座る。は慣れていないからか目を泳がせてそわそわと体を動かしている。そしてちらちらと僕の方に視線を送っていた。言葉にしないとわからないよ、と彼女に言ったらでもでもと言って視線をテー…

3-1

「どうしてこの世は不公平なのでしょう。悪い人が自分のした罪を悔いずにのうのうと生きているなんて」 或る病室にて、彼女はぽつりとつぶやいた。悪い人とはきっと僕のことも入っているのだろう。ライブラのためとはいえ人にいえないことをたくさんしてきた…

2-4

「でさぁ、その僕忘れっぽいのかそれを見かねてバーガーの精がお告げくれたんだぁ。メモするといいって」「メモ、ですか」「そう、メモメモ。僕ケータイとか持たないというよりそのお金あったらバーガーたくさん食べたいからさぁ……本当に親切なバーガーの精…