雑賀孫市(夢主設定)
後朝の口づけ
「───」 きりりとした寒さが朝を告げる。孫市は、少しだけ体を震わせつつも、むくりと起き上がり、傍らで安らかに眠る女を見た。「……まだ、跡は残ってるか……」 彼女の首元にある昨夜の名残を確認し、そっと指を這わせる。まだ寝ている女はぴくりとも…
いたずらの代償
「やあ、お姫様。今日もまた一段と……」「これ以上甘ったるいうわ言を言わないでください。孫市さん」 依頼終えた後の帰り道、二人は本拠地へと向かう途中、いつものように山道でじゃれ合いのようなものをしていた。孫市は慣れたように女の細い腰に手を回す…
こたえられない
「もう、限界です」 張り詰めた糸が切れそうな声で、女はいう。視線は目の前にいる男からそらし、それどころか顔すらも伏せていた。男はそれを許さないと言わんばかりに細い女の手首を優しく握りしめている。「何度貴方が愛の言葉を囁こうとすれど、信じるこ…
花開く
初夜話
R18錯綜感情
「……よく、貴方はそんな言葉を吐けますよね。たとえそれが仮初だとしても」「いいや、本当のことを言ったまでさ。貴女が望むのならなんなりといくらでも耳元で囁くぜ?」「遠慮しますし、疑い塗れの言葉なんて聞きたくありません」 二人は、冬の小屋にて暖…
或る夜の一時
夜、屋根の上にて智は歩きながら月を仰ぎみていた。白い光を浴びながら、くるりと時々回りつつ静寂の中靴の音を響かせていた。「―――ああ、とても―――」 それを地上から見るは、1人の男。「月下美人……いや、まるでこれは……」 かぐや姫か、と男は…
嘘、だったりして
「、俺はあんたのことを愛してるぜ」 浮ついた言葉は低く滑らかな声と共に目の前の女に届けられる。声を掛けられた女はそれを日常の一つとして聞き流していた。「ああ、その変わらない横顔、時折見せてくれる優しい笑顔、君の全てが好きだ。だからどうか」 …
月下の烏
「――――月、か」 ふう、と男は銃口にまとわりつく煙を吐息でかき消して空を見る。そこにあるのは空に浮かぶ白銀の円。空にはそれを隠すような雲はなく、ただ燦然と闇をほのかに照らしていた。「なあ」 男はぽつり、と言葉を吐く。ゆっくりと月から自身の…
紀州雪花邂逅
出会いの話
孫市夢01
「……」 かたん、かたんと音がする。恐らく銃の手入れでもしているのだろう。そりゃそうだ。彼の生命線でもあり相棒でもあるのだから。私がこうして休んでいる間に彼はきっといつもこういうことをしているのだろう。彼に見つからないように再び目をつむる。…
馬岱(夢主紹介)
陰から光へ
「……如何したのでしょうか、馬岱殿」「そんなにかしこまらなくてもいいよ。……ああ、そっちじゃないよね。これから戦勝記念の宴があるんだけどさ、君も来ない?」 ある陣地にて、は男から宴の案内を受けたが、首を横に小さく振った。「申し訳ありません。…
絵空事
異物挿入ネタ
R18唯一の結髪
「君の髪って、本当に綺麗だよねぇ」 骨ばった手で、男は女の髪を編む。長い髪が一本の三つ編みになっていく間、少しだけ重い沈黙を破ろうと、いつもの調子で男は切り出した。「まるで墨のように黒くてさ、触ったらするするしてて……」「ありがとうございま…
度重なる温もり
学パロ
R18SS詰め
短編集
R18今だけでも
陣幕にて、一対の男女は決して離すまいと口付けを交わす。深く強く、互いを抉るように。彩度の低い男の瞳は、なされるがままに溺れる女の様子を映していた。唇が離れる一瞬、女は男の名をうわ言のように呼び、それに応じるかのように男は女の口を塞ぐ。「ぁ…
渇愛墨華ー共穢ー
「――――雨、か」 成都にて、女は雨降る中ゆらりと外に出る。雨よけの道具すら一切もたず、ただ雨に打たれに漂い始めた。冷たい雨は無情にも女の体を濡らし、冷やす。それを気にせず女はあてもなく、雨の中にいた。だらりと伸びた腕は、どことなく空を握る…
誓いの夜
「ねえ、俺たち夫婦にならない?」 それは、あまりにも突然のことだった。夜、事が終わり、ふわふわとしたまどろみの中で隣の愛する人から言われた言葉。さすがにそれが分からない私でもない故に、頭の中が白く弾けたような感覚がした。「……馬岱殿? 何故…
0214 2355
現パロ、バレンタインネタ
無情なる約束
死ネタ
花は逝く
「馬岱殿、馬岱殿……何私の髪の毛で遊んでるんですか?」「遊んでいる、というより君の髪の毛にちょこっと飾りをつけてるだけだよぉ」 春の夕暮れ時に二人は野に座り、馬岱と呼ばれた男は女の髪の毛に野の花を飾りたてていた。普段は武器を持つ武骨な手で、…
絵筆に願いを
「馬岱殿は、平時にはいつも絵を描いていらっしゃるのですね」「んー、法正殿、まあね。俺にとっては絵は俺の一部のようなものだからやめられることは出来ないんだよぉ」 空青い成都の或る部屋にて、法正は馬岱に書類の進捗状況を尋ねようと部屋に入ったが、…
夏侯惇(夢主紹介)
SS詰め
境界崩落――序 いつからだろうか、境界線を壊したくなったのは。とても固く超えてはならない線。どうも男は従者を見ているとその気になりやすく、かつ彼女が傷つくのが見ていられなくなる。そして危険なほど健気ときた。「元譲殿が、私を初めて認めてくれた…
R18SSまとめ
短編集
R18湖面落下
「やあ、殿。こんな綺麗な月の夜に一人きりなんて、いいのかな?」 後方から、優し気な声が聞こえてくる。なにかよからぬ予感がした女はあわてて地を駆けて逃げようとしたが、ふわりと触れるような声色に引かれ、つい足を止めてしまった。振り返るとそこには…
決して雪に変わることはなく
「夏侯惇よ、お主はに惚れているであろう」「……のことか、孟徳。確かに、この俺自信が惚れていることは事実だが、それがどうした」 夜、雨の空を仰ぎつつ曹操と夏侯惇は酒を飲んでいた。とりとめのない話をして、何事もなく飲んでいたら、いきなり曹操が夏…
駕籠に閉じ込めることはなく
「お前、何をしたのか分かっているな」 深夜、夏侯惇は一人の女従者を問い詰めていた。昼間の戦闘にて、彼女は彼に向って飛んできた弓をその身で受けようとしたからである。幸い傷は顔にかすった程度で済んだものの、彼にとってはそれは耐え難く、かつ許しが…
熱と事故
「……今日はこれくらいにするか」 隻眼の男は、ずしりとした模造刀を傍らに置き、上半身のみ露わにして手拭で汗をぬぐう。まだ朝とはいえ、夏特有の暑さと日差しは容赦なくその場と夏侯惇を襲うも、彼はまるでそれを涼やかな風のようにしていた。数多の戦場…
乞い願う
ゆっくりと意識が浮上していく感覚がする。何かに引き上げられるような温もりが手にあった。浸かるとずきずきとどこか全身が痛むような感じから無理やりにでも腕が引っ張られるようだと女は思った。「――――――――――――」 誰かが女を呼ぶ声がした。…
ないものねだり
「……どうした、お前にしては珍しくぼうっとしてるな」「――っ! いえ、すみません、元譲様……」「いや、いい。責めたわけではない」 日が西方へと傾く時、立ったままぼんやりと彼方を眺めていた女は背後からやってきた主の声に応じて意識を取り戻した。…