BBB(Steven)

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あなたの名前は名字名前。フリガナはミョウジナマエ。長編(5-5)にて出す遊撃手の名前は項目5。

長編

忘れることができない少女と番頭の話。完結済。

暴力描写(精神、肉体)、自傷や自殺に関わる表現、アニメ化されてない範囲(本誌含む)のネタバレを含みます

ザヴウェーニェ・パーミチ

1 雪花邂逅

  • 1-1

     いつものようにヘルサレムズロットは曇天の極み。いつもと違うところといえば、雨がしとしとと降っているところだった。地面に跳ね返る水音が大きく響く。異界人または人類も、等しく雨よけを身に着けて冷えるのをしのいでいた。 黒髪はほつれ、慣れ親しん…

  • 1-2

     ――ピピ、ピピピ まず、覚醒と無意識の境界にて規則的になる音を認識する。自分が何処にいるかすらわからず、まるで彼岸を彷徨っているようにすら思えてきた。「――で、この――――は」 次に、何か言葉らしい言葉を誰かが喋っているのを認識する。これ…

  • 断章:1

     翌日、昼下がりのライブラ事務所にて、スティーブンはこれから調査する予定の組織に関する資料に目を通していた。またそれとは別に男の手元には、一人の人物に関する調査結果の書類がある。顔写真はアジア系で、黒髪は後ろに一つにまとめられている女性。名…

  • 1-3

    「なんで、祝ったの」 ぽつり、と退院と元通りに体が戻ったことを祝った医師と看護師に聞こえることのない文句を吐く。張り付いた笑顔を浮かべた医療関係者たちにお礼は必要だったのでいったはいいが、その後は全くどうするかすら考えていなかった。この街か…

  • 1-4

     いつも通りの魑魅魍魎が闊歩しているHLの街を歩き、僕のアパートメントへとたどり着く。彼女――は恐る恐る僕の後ろを歩いていて、アパートの一室に上がったときの彼女は早速部屋の片隅に立っていたからとりあえず座るよう促した。しかし彼女はそれをしよ…

  • 幕間:悪夢と映画と夜更かしと

    第一章終了後の話

2 菌糸考察

  • 2-1

    /HL ライブラ事務所にて「そうか、なるほど」「クラウスさんどうしたんですか?」「ああ、レオ。スティーブンから連絡が入ってだな。今追っている血界の眷属絡みや異界のテクノロジに関する重要参考人をこちらに引き入れることが出来そうだとメッセージが…

  • 2-2

     それから数日後、私がその組織に挨拶へ行く日が決まった。話を聞くところによるとスティーブンさんもその組織のメンバーらしく、今取り込んでいる『難題』について色々調査しているらしい。その難題とはと聞いてみたが優し気な笑顔ではぐらかされてしまった…

  • 2-3

     その後、私はライブラにて事務員として働くことなった。まだ日は浅く他の方々になじめるかどうかは分からない。ただわかることといえばこの職場は今までで一番、居心地が悪いくらいにあたたかい職場であるというだけだ。今ここにいるのはレオナルドさんとザ…

  • 2-4

    「でさぁ、その僕忘れっぽいのかそれを見かねてバーガーの精がお告げくれたんだぁ。メモするといいって」「メモ、ですか」「そう、メモメモ。僕ケータイとか持たないというよりそのお金あったらバーガーたくさん食べたいからさぁ……本当に親切なバーガーの精…

3 血痕吊橋

  • 3-1

    「どうしてこの世は不公平なのでしょう。悪い人が自分のした罪を悔いずにのうのうと生きているなんて」 或る病室にて、彼女はぽつりとつぶやいた。悪い人とはきっと僕のことも入っているのだろう。ライブラのためとはいえ人にいえないことをたくさんしてきた…

  • 3-2

     個室形式のレストランに案内されて、向かい合うようにして座席に座る。は慣れていないからか目を泳がせてそわそわと体を動かしている。そしてちらちらと僕の方に視線を送っていた。言葉にしないとわからないよ、と彼女に言ったらでもでもと言って視線をテー…

  • 3-3

     スティーブンさんから昼食をおごられ、事情聴取じみたことをされた後で帰り道をいく。こうして誰かと一緒に並びながらどこかへと帰るという行為がこんなにも安心するとは思わなくて、手でもつなごうとしたがそこまで親しくない人に向かってそれはどうかと自…

  • 3-4

     鈍い音が、聞こえる。なんか私の体にぶつかってはいるらしいけど、何なのかはわからない。 またなのか、とぼんやり思いながら私は今、サンドバックになっている。 しばらくして音が止まり、誰かが喋るような声が聞こえてくる。 どうやら私をどうするかと…

  • 3-5

    「――、!」 僕の叫びが路地裏にこだまする。と一緒に事務所へ帰ろうとした途端、彼女は触手にとらわれて路地から路地へと消えていく。たった一瞬の出来事故に何もできず、文字通り足が出る間もないくらいだったので男は一瞬だけ固まったがすぐに思考回路を…

  • 3-6

    「――あ」 目覚めた先は、また同じような天井だった。いつもの中央病院であることは確か。顔に触れようとしても包帯だらけ。視界はぼやけていて世界をすりガラス越しで見ているよう。 無理やり自分の体を起こしてみる。いたるところには包帯だらけ。それほ…

4 日常屈折

  • 4-1

    「……」 退院したその日の夜、私はスティーブンさんの家の隅でうずくまる。 あの日私を襲ってきたジェストカヤ・プラヴダという組織のことについて話そうとしても喉がつっかえて何も言えない。 云わなきゃいけないのは、彼が追いかけている案件の重要参考…

  • 4-2

     彼に腕を引かれて雑踏をかき分けていく。 決してはぐれることのないように私の手首は強く握られて、時折はぐれていないかの確認であるのだろうか、スティーブンさんは私に色々なことを話しかけていた。少しだけ踏み込んだ趣味――好きな本の作家とか、よく…

  • 4-3

     私を呼ぶ誰かの声は遠くなり、目の前が暗くなる。また寝不足のつけがここで回ってきたらしい。今までいた場所から逃げるなと言わんばかりに見たくもない夢の上映会が始まった。そのたびに夢の中で感情を切断しても傷はうずいて、腕からは血が流れる始末。夢…

  • 4-4

    「――……、」 遠くから声が聞こえてくる。くらく、つめたいゆめのなかで耳をふさいでいようともそのこえはひくくひびいている。 瞼を開いて確認したくてもまだ地獄が残っているのかもしれないのでやめておくことにした。「、」 嘲笑はなく、侮蔑もない声…

5 絢爛逢引

  • 5-1

     光は大嫌いです。 眩しすぎて何も見えなくなるから。 でも、見たくないものが多いのでどうか何も見えなくしてください。 つまり――眩んでしまうくらいに色とりどりの光をください。 第五章 絢爛逢引 浅い眠りから抜け出して天井を確かめる。高い天井…

  • 5-2

     コニーアイランドへ向かう道中にあのようなおしゃれな店があるとは知らなかった。そもそも今まで服飾などに興味がなかったとはいえ巨大なブティックを見過ごすということはあるだろうか? 否、意識の範囲外においていただけかもしれない。様々な素材と色が…

  • 5-3

     ――ゲートを潜った先は、狂乱と絢爛に彩られた遊興空間だった。 様々な種族が一人だったりいろいろな生き物と一緒になって思い思いの遊具に乗っていたりメリー・ゴー・ラウンドではしゃいでいたり珍妙奇天烈な食べ物に舌鼓を打っているが彼と私はそうする…

  • 5-4

      天空の密室に二人きり。窓には宝石を散らしたような輝き。 そして――正面には、スティーブンさんがいる。 少し癖のある短い黒髪に左目の横に走る傷跡、グレーのスーツをまとった伊達男はいつもと変わらない柔和な笑みで窓の外を眺めている。朝と夜、い…

  • 5-5

     何事もなく彼の家にたどり着く。彼のもとに転がり込んでから暫く経つはずなのにまだ慣れそうにない。 綺麗に整頓されている部屋も、あたたかいお手伝いさんも、比較的やさしい家の主も。それらは誰かにとっての当たり前なのかもしれないが私にとってそのあ…

6 忘却記憶

  • 6-1

     ノートは夜を告げた。 ツクヨミは穢れを厭い、もてなしたものをころした。 ニュクスは災難の母となった。 ヨワリ・エエカトル――テスカトリポカは、生贄を求めた。 一年分の幸福は得られましたか? たくさんいい思い出は作れましたか? じゃあ、その…

  • 6-2

     朝を告げるアラームが鳴り響く。冷たい床の感触はなく、とてもふかふかの布団がそこにはあった。 横を向くとそこにはスティーブンさんが仕事をするときと同じような顔をして立っている。口元だけは笑っているが目元は違う。思い当たるフシは――きっと昨夜…

  • 6-3

     その後、寝起きのことがなかったかのように平然と朝食を食べて何事もなかったかのようにライブラへと向かった。何事もなく、あいも変わらずの混乱模様。触手と銃撃に巻き込まれないように器用に立ち振舞ながらライブラが入っているビルへと無事到着した。手…

  • 6-4

     ラジオが夜を告げると同時にライブラの人たちが帰ってきた。流石に時間が時間だったからかKKさんは直接家に帰ったらしくここに帰っては来なかった。帰ってきた人たちの中にはライブラでやるべきことを終えてから事務所をあとにする人もいた。私はスティー…

6.66 KINGPIN for Shect’

  • 6.66 Tie me down/Let it go

    /Tie me down 起動、確認。いつもどおりの朝がきた。今日の夢は目の前でスターの写真を破られる夢。メガネのレンズが体液で汚れることを気にせずに夢の中で掴みかかろうとしたがひらりと交わされて気づいた頃にはスターへの悪口と共に変わり果て…

  • 6.66 (not) along feeling

    HLPDの資料室の一角にてダニエル・ロウ警部補は一つの封筒を手に取る。ぶつぶつと何かを言いながら男はそれを抱えて自分のデスクへと戻っていった。がさごそと少し乱雑に封筒から書類を取り出し眉間にしわを寄せ始める。文章に視線を向けながら唸り、舌打…

  • 6.66 for me and my dream

     オークションのときが、近づいてきた。明日の今頃は莫大な金が手に入りさらなる研究のための準備をしている頃だろう。確実な将来の研究プランを脳内に浮かべつつ今は目の前の事柄に集中する。明日の予定表を念入りに確認していると背後の扉からオクタヴィア…

  • 6.66 KINGPIN for shect’

     が、僕の目の前から姿を消した。手元には彼女から押し付けられた一冊の文庫本サイズのノート。物言わぬ証言の塊は今、僕の手の中にある。 もっと、彼女と面と向かって話をすればよかったか――しかし、彼女は現在進行系でレオナルドのときと同じような出来…

7 一縷氷踏

  • 7-1

     さぁさぁすべてを記す少女をめぐる物語はいよいよ大詰め。 僕は色々なインシデントを扱った番組を一気見しながら観察するよ。あれは起こるべくして起こった事故。非常にためになるがいつまでたっても学ばない人類の博覧会だ。 記憶の固執、男の悲嘆、祭壇…

  • 7-2

     事態は急を要する。通話の返事もなくGPSもロスト。よぎったのはレオナルド・ウォッチと妹の面会の一件。故にすぐにクラウスに報告した後で全構成員に緊急事態を宣言し・の捜索・保護を指示した。これほどまでに彼女が追い詰められていたとは迂闊という言…

  • 7-3

     一方その頃、クラウス・V・ラインヘルツとレオナルド・ウォッチは礼服を身にまといあらゆるものを吟味していた。無論、モノを落札するためではなく目的の『商品』がいまそこにあるのかを探すためである。ズールディーズのときと同じように気づかれずに、静…

  • 7-4

    「……すまん、クラウス、レオ。彼女を檻ごと救い出すはずが……」 ゆっくりと壇上から落とされた男が立ち上がり、手早く上着の裾を払う。そして自分自身を取り囲む群衆を見据えた。「そうか。それでスティーブン、檻の鍵は」「見当たらなかった。おそらくあ…

  • 7-5

    「あ――ぐ、あ、き、さま――!」 男のうめき声とともに氷が割れる。ゆっくりと飛んでいった方向を見やると苦悶の表情を浮かべた月桂冠の男とスレンダーな女が倒れ伏していた。男はほぼ凍りついていて動く気配はない。女は右手だけやられている。女はすぐに…

  • 7-6

    「――――――」 こえが、きこえてくる。思ったより地獄からのつかいはやってきたのだろう。じごくのそこはつめたいとよくいうし、とてもひえているのはそのせいだ。「――、」 わたしのなまえをよぶひとがいる。さばかれるときはきたらしい。めをゆっくり…

終章

  • 終章/前

    「まて……まちやがれ……。……! あんたの居場所はそいつのところじゃ、ない……! 自由になってしなせ、ないわよ……!」 地を這いながら女は呻く。きれいに飾り立てたメイクも、服も、ネイルも煤まみれになりもはや見る影もない。片腕は凍傷で使えなく…

  • 終章:後

     暫くした後で看護師はスティーブンさんを連れて戻ってきた。一礼をした上で看護師は部屋から退出し残されたのは私とスティーブンさん二人だけ。静かに時計の針の音が一定のリズムで刻まれる中、先に切り出したのは彼の方だった。「無事でなによりだ。」「……

短編

短編
  • 泡沫の体温

    「ねぇ、スティーブンさん。私がもし、明日死んだらどうしますか?」いつも通りの灰色の空をバックにして少女は言う。自分の死について笑顔で口にしているのだからスティーブンは彼女のことを恐ろしく感じてしまった。「……そんな想像するだけで恐ろしいこと…

  • 実感するは、生

     一人、ゆっくりと自分の体の活動開始を感じて目を開ける。天井には昨日あったはずの死の輪っかがない。おそらく昨日訪れた恋人が撤去したのだろう。いつも通り自分の体が動くことを確かめた後、自分が今生きているという確証を得た。 ―――気づけば、生き…

  • 夢幻シェルター

    学パロ、番頭が先生。不穏

  • 逆行する思考回路

    「君は、何故あのとき出てきたんだい?」 深夜、はスティーブンの部屋に呼ばれ、昼間のことについて色々尋問されている。昼間、血界の眷属と交戦し、発見者であるはピンチになった後で急いで血界の眷属と遭遇したということを連絡したのだった。 その後、駆…

  • 一夜限りの

    煌びやかなダンスホール。そこにいるは、大勢の男女。「……本当に私でよかったのですか?」うつむきながら、女は傍らの男に問う。「じゃないと、僕は嫌だからね。なにせ、僕は君のことを信頼しているからな」話は昼までさかのぼる。「,ちょっといいか?」ス…

  • 渇望したぬくもり

    学パロ。倫理観並びに社会通念的なものは無い。夢幻シェルターの続き

  • 雨に思う

     ───嗚呼、雨か。確か始まりの日も、このような豪雨だった。 ライブラの執務室から、一人女は窓の外を見る。雨音が心地よく響き、そしてそれは空虚な孔によく響いた。「珍しく、君にしては物思いにふけっているな」「ええ、貴方に拾われた日も、このよう…

  • イミテーション・ライト

    「星が見たい」 が唐突にスティーブンにおねだりをする。それは彼女にとっては珍しいことで、あまり彼にモノやことをねだるということがなかったため、スティーブンにはかえって新鮮に思えた。だが、ここHLでは星空というものを拝むことは叶わない。「そう…

  • 俯瞰夜景

     HLの夜に沈黙はない。毎晩毎晩飛び降りようとビルの屋上に上り、見下ろした底にて喧騒が途絶えたことは一度も見たことがないからだ。何処かしらで騒ぎとパーティ、まるで毎日がハロウィンのよう。そして故郷の夜景もたしかこんなのだったっけというほどの…

  • 刻まれる時

    「――スティーブンさん、この包みは?」「ああ、これかい?」 スティーブンの部屋にて、女は小さな一つの包みに気づき、なるべく触れないように近づく。あらゆる角度から、まるで小さな子供の様に女は観察してみる。「これはだな……ちょっとした秘密のもの…

  • スピークイージー

    誕生日記念SS。非常に短い